むかし、むかしのこと。越中(富山県)の民と加賀(石川県)の民が
言い争いをしていました。
「何をおいても、立山よりも高い山はない」
「いやいや。白山の方が高い山に決まっている。
白山に比べれば、立山なんて子供の背丈ほどしかない」
山の高さで言い争いをしていたのです。
しかし、言い争っていても、何も解決しません。
そこで、実際に立山と白山で
背くらべをしようということになりました。
さっそく竹を縦に割り、どんどん継ぎ足して、
長い長い樋(とい)をつくりました。
その樋の片端を立山の頂上に、もう片方を白山の頂上に備えました。
立山の頂上にいた越中にいた越中の民が、樋に水を流したところ、
水は白山に向かって流れ始めました。
「こりゃいかん」
白山の頂上にいた加賀の民は、慌てて草鞋(わらじ)を脱ぎ、
樋の下に3つ重ねて挟み込みました。
すると今度は、水が立山に向かって流れはじめました。
「やや、水が戻ってきたぞ!」
勝利を確信していたはずの越中の民はひどく驚き、
あわてて樋の下に石ころをひとつ置きました。
すると樋の水の流れはぴたっと止まりました。
これを見た越中の民は
「立山は白山より石ころひとつぶん低い」
と信じむようになりました。
それ以来、立山が白山よりも高くなるようにと、
立山登山の際には下界から石を持ってきて
頂上に積むことにしたといいます。